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炭酸カルシウムができるまで

日本の石灰石

合成炭酸カルシウムの原料である「石灰石」は、日本で100%自給できる唯一の鉱物資源です 1)。

日本の石灰石採掘量は米国、中国に次いで世界第3位であり 2)、採掘量の約3%は輸出もしています。また、図1に示す通り、石灰石の鉱床は北海道から九州まで日本全国に広がっています。

日本産、米国産および欧州産の石灰石の不純物元素濃度を測定した例を表1に示します。日本産の石灰石は海外産のものと比較して、どの不純物も少なく、高品質であることがわかります。

日本は良質な石灰石に恵まれた国であると言えます。

表1. 日本産、米国産および欧州産石灰石の不純物濃度測定結果の例 (μg/g).

出典

図1. 石灰石の鉱床所在地 3)

図1. 石灰石の鉱床所在地 3)

PCCとGCCの違い

炭酸カルシウムは工業的には重質炭酸カルシウム(GCC; Ground Calcium Carbonate) と合成炭酸カルシウム(PCC; Precipitated Calcium Carbonate)に分類されます。

製造方法としては、
○GCC: 石灰石を物理的に粉砕・分級して製造する
○PCC: 石灰石を原料として化学的に合成し製造する
という違いがあります。図1に示す通り、GCCもPCCも見た目には同じ白色粉体材料ですが、

  • GCC

    GCC

  • PCC

    PCC

図1. GCCとPCCの粉体.

ミクロには図2に示す通り、GCCは0.5–10 μmの不定形粒子から成っているのに対して、 PCCは20–300 nmの菱面体粒子など均質な粒子から成っています。

  • GCC

    GCC

  • PCC

    PCC

図2. GCCとPCCを観察した走査型電子顕微鏡(SEM)像.

二酸化炭素(CO2)ガスのリサイクル

昨今、世界全体で低炭素社会づくりの重要性が叫ばれており、資源を適正に利用し環境保護を推進することは企業の重要な使命となっています。

白石工業の設立者である白石恒二は、図1にある通り、石灰石焼成時に発生する二酸化炭素(CO2)ガスを廃棄せず、炭酸カルシウムの合成にリサイクルして使用する製法を1909年に確立しました(図2) 1)。

①焼成

石灰石を焼成し、脱炭酸により生石灰(酸化カルシウム)を得る

CaCO3 → CaO + CO2

②水化

生石灰を十分な量の水と反応させることで、石灰乳(水酸化カルシウムスラリー)を得る

CaO + H2O → Ca(OH)2

③炭酸化

焼成で発生したCO2ガスを石灰乳に吹き込むことで、液中で炭酸カルシウム微粒子を析出させる ※①焼成で発生したガスを再利用

Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O

図1. 合成炭酸カルシウムの製法(白石式).

数ある無機材料の中でも、水中で合成される炭酸カルシウムの製法は、エコな製造プロセスであるということができます。

出典

  • 1) 特許第26117号 『白石式軽微性炭酸「カルシュウム」製造方法』
    (1911年7月8日出願、1914年6月16日登録)
特許第26117号 『白石式軽微性炭酸「カルシュウム」製造方法

図2. 創業期の特許例(1911年出願).

粒子形状の制御技術

炭酸カルシウムにはカルサイト、アラゴナイト、ヴァテライトの3つの結晶構造があります。炭酸化工程において、石灰乳の濃度や温度、CO2ガスの導入速度や薬品添加の有無など種々の条件を変化させることで、これらを作り分けることが可能です。

反応式で書くと、いずれもCa(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2Oで表されますが、図1に示す通り、粒子形状や凝集状態を高度に制御することができ、フィラーとして母材に配合された時に各分野での機能性強化を図ることができます。

図1. 様々な粒子形状・凝集状態を有する合成炭酸カルシウム.

幅広い粒子径制御

粒子形状だけではなく、結晶を安定化させ粒子サイズを制御することも、求めるフィラー特性を実現するためには重要です。

コロイド状粒子を例に挙げると、白石グループでは20-300 nmの炭酸カルシウムを作り分けることができます(図1)。このように均質な粒子を製造することで、母材に再現性良く物性付与を行うことができます。

図1. 様々な粒子径を有するコロイド状炭酸カルシウム.

ナノスケールでの表面処理

炭酸カルシウムの粒子表面に脂肪酸や樹脂酸など各種薬剤を処理することで、母材との親和性が向上し、より高い応用物性を発現させることができます。

図1はPCC無配合、無処理PCC配合、脂肪酸処理PCC配合の2成分形ポリウレタンの粘度変化を示したグラフです。脂肪酸により表面改質を行うことで、シーラントの作業性改善に効果があることがわかります。

図1. PCC無配合、無処理PCC配合、脂肪酸処理
PCC配合の2成分形ポリウレタン粘度変化.

図2は無処理品および脂肪酸処理品の粒子表面を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)像です。無処理品では粒子表面近傍までカルサイトの結晶格子が観察されるのに対して、脂肪酸処理品では脂肪酸の存在に起因した厚さ2 nm程度の層状コントラストが粒子表面に観察されます。

このように均質な表面処理を行うことで、安定したフィラー特性の発現を叶えます。

図2.無処理品および脂肪酸処理品の粒子表面を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)像.